日々の移ろい
リスペクト × パートナー生産者さん 「生姜作りの難しさ」を教えて頂きました!
リスペクトの安本です。
今年も気が付けば残すところあと1月、師走に入り本格的な冬支度を整える時期になりました。
ここ関西でも12月から急に寒くなる予報も出ていて、この冬は雪たくさん降るのかなぁなんて考えています。
そして毎年ちょうどこの時期に届けてもらえるのが、今回ご紹介する生姜です。
植物発酵エキスの原料として使用するこの生姜がどのように作られているのか、そしてあまり知られていない生姜栽培の流れやその難しさなど、
長くご協力頂いているパートナー生産者さんにお伺いしてきました!
■リスペクト創設期からご協力頂くパートナー生産者 Kさん
毎年この生姜をご協力頂いているKさんは、リスペクトが植物発酵エキスの製造を開始した同じころ、
14年前から生姜栽培に取り組まれており、私たちにとっては初期のころから最も長くお世話になっている生産者さんの一人です。
元は大阪で生まれ育ち、大学生のころにご家族と共にここ滋賀へ移り住まれたKさんは、
その後ご両親が里山で田んぼを借り、野菜作りを始められたことをきっかけに野菜栽培に興味を持つようになられ、
自身の考えや工夫を生かし黙々と作業に向き合えるスタイルが自分には合っていると感じ、農業の道へ進むことを決意されたKさん。
その当初から、農作物とその作り手である自身の健康面も大事だと考えられていたKさんは、
自分がやるなら農薬や化学肥料を使用しない有機農業に取り組みたいという思いを胸に、高知県の有機農業学校にて2年の研修生活を送り農業の基礎を学ばれました。
その時に出会ったのが、高知県が生産量日本一を誇るこの生姜だったそうです。
研修期間中の生姜栽培が上手くできたこともあり、また滋賀の地元は農作物の獣害被害も多い地域だったことから、
それらの被害影響があまりない生姜栽培に挑戦してみようと考えられたそうです。
現在ではその他作物も栽培されながら、地元スーパーや直売所、一部レストランなどへも生姜を販売されています。
■生姜栽培の流れと継続していくことの難しさ
生姜栽培の一年は、一般的な畑作と比べても特に作業期間が長く手間がかかるのが特徴です。
4月頃に種生姜の植え付けをし、その後は土寄せや追肥など春から夏にかけての生育管理が続きます。
秋の収穫販売の時期を迎えても、翌年の植え付けまでに次の種生姜の確保と貯蔵管理が続くため、年間で必要な作業が途切れることがありません。
Kさんはご両親の協力を得ながらも、基本はお一人で栽培管理をされており、
「一年を通してゆっくりできる時間はほとんどないかな」とおっしゃっていたのがとても印象に残っています。
そして生姜栽培の難しさを最も感じたのがこの「翌年以降の栽培サイクルを維持する」という点でした。
このサイクルを維持するためには、毎年収穫した生姜の中から翌年に植え付けるための「種生姜」を確保し、冬の間長期保管する必要があります。
種生姜を購入して使うことは理屈としては可能なのかもしれませんが、
コストが非常にかかる上、近年は入手自体が難しくなってきていることから、Kさんに限らず多くの生姜生産者さんが、できる限り翌年の種生姜を自ら収穫したものから自給し確保していく必要があるのだとか。
種生姜は春の植え付けまで、温度と湿度を厳しく管理して貯蔵保管されます。
しかし、この貯蔵期間中にもどうしてもカビの発生などにより傷んでしまい、年によっては多くの種生姜を廃棄したこともあるそうで、
この時期の貯蔵保管の良し悪しが次の作付け量に直結し、その翌年の収量つまりは次の種生姜の確保にまで大きく影響してしまうため、
ここが生姜栽培を続ける難しさだと教えて頂きました。
種生姜の確保には、損失も見越してなんと全体収穫量の7割近くを次作の種生姜に充てているそう!
貯蔵期間中も毎日状態をチェックし、冬場も全く気が抜けない状況が続くそうですが、
春の植え付けを迎える頃には、少なからず損失してしまうという厳しい現実があるようです。
植え付け → 生育 → 収穫 → 種生姜の確保と貯蔵、という途切れることのないサイクルを毎年高い品質で繋いでいくことこそが、生姜栽培の何より難しく気の抜けない点だと強く感じました。
■弛まない努力の積み重ねが支える植物発酵エキス
Kさんとリスペクトとの関係は、まだ発酵エキスの樽の数もまだわずかだった初期のころから。
今もこのようにして栽培を続けておられ、毎年採りたての生姜を届けて頂いています。
夏場の強い日差しや長く続く雨などは生姜にとっても大敵。常にその時の状況に対処し、
施肥や畑の水分管理にもこだわりを持って取り組んでおられました。
畑にお伺いしたこの日も、収穫作業の真っ最中!
1株ずつ大事に掘り起こし、生姜が割れないように1本1本茎をカットして丁寧に箱詰めされている姿見て、このようにして農産物が届けられているんだな、と感じられたことは私にとっても大きな収穫でした。
ちなみにこの時期届けて頂ける採りたて生姜はとても貴重なんです。
本来、新生姜として出回るのは夏場に採れたまだ若くて柔らかいハウス栽培のもので、秋の収穫期に採れた露地栽培の生姜は、長期出荷ができるよう種生姜と同じように貯蔵庫で保管熟成された、普段なじみのある茶色の根生姜として流通するものがほとんど。
リスペクトでは、生産者さんとの連携によりこの時期の霜が降りるギリギリまで土の中で成熟し育った、栄養分豊富な採れたての生姜を届けて頂いています。
このように、パートナー生産者さんは日々難しい栽培管理と向き合われ、その弛みのない努力の積み重ねにより、毎年品質のよい野菜原料を届けてくださっているのです。
植物発酵エキスは、ご協力頂く多くの方々によって支えられ、作られていると言っても過言ではありません。
私たちも、このようにして届けて頂ける貴重な農残物をより良い製品作りに生かし、その想いに答えていきたいと改めて感じた一日でした。